無題 ---side:サスケ
いい。
桁が違う。
本質に迫るスピード、追い詰め方、執拗なのに飽きない責め。
全ての原点に還る感覚が五感を埋め尽して行くのがわかる。
手にとるようにはっきりと、でも静かに。
イタチの長い指が絡み付いて離れない。
そこを見ているだけで煮えるように脳髄が熱くなる。
伏せられた漆黒の睫と、赤い唇。汚れのない白い肌。
決して逞しいとはいえない骨張った肩から滑り落ちるなめらかな髪。
目の前のどこを見ても劣情が煽られてしまう。
かといって瞼を下ろしてしまうには惜しい。
イタチとはたとえ達するまでの時間が短くても恥ずかしく思うような間柄ではない。
それにイタチはオレの未熟さを槍玉に上げて子供扱いをするような性格でもない。
肩肘を張らずに全てをさらけ出せる―――
考えてみれば、そんな相手はイタチしかいないのかもしれない。
「いっ……!」
突き立てられた指先が急に狭い間を割って入ってくる。
掻き出されずに留まっていた残滓が滑りを助けて、その動きを激しくさせる。
弱い処を知り尽したイタチの指が中で蠢き
壁に柔らかな腹を擦り付けて、そのまま深くまで掻き回して行く。
馴らす必要もない程ほぐされたその場所に揃えた二本を出入りさせながらイタチの左手が屹立を扱いて射精を煽る。
意志とは無関係に動く脚と脚の間でその瞬間を待つ様子が
冷静すぎて少し癪に触る。一人だけ乱れて。
恥ずかしくはないけれど、腑に落ちない。
「ん……っ」
引き結んでいたはずの唇が緩み、隙間から吐息が洩れ出す。
荒い呼吸と上下する肩、硬直した脚の感覚が意識を現実に引き戻す。
イタチの掌に吐き出したはずの白い精が行き場をなくしてゆらゆらと水中を漂う。
力の抜けた身体を起こし、数回掬って排水溝に流した。
そして何も言わず浴槽の栓を抜き、洗い場へ降りたイタチが
濡れた服を脱いで水気を絞りとる様子をボーっと眺める。
また何の断わりもなく浴室のドアを開けて腕を伸ばし
イタチが手探りで照明のスイッチを切る。
生まれ育った家なのだから当然といえば当然かもしれないが
あの頃とは違った成長を遂げた大人のイタチが昔と同じ行動をとるのは
不思議で少し不気味だった。それと同時に懐かしさが胸を締め付ける。
声が聞こえてしまわないようにとシャワーを出しながら
浴槽に湯が溜まるまでの間に昇り詰めるのが定石で、
昔はそうして制約の多さを逆手にとって楽しんでいた。
黒い衣服が取り払われて露になる白い肌が誘う。
このしなやかなイタチの四肢を共有するのが今この瞬間は自分だけ
という至上の贅沢。
ああ、やっぱり此処じゃなきゃダメだ。
続
INFO:イタサス(別CP要素含)
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