無題 ---side:イタチ










着衣のまま浴室に運び、湯を張った浴槽に身体を落とす。
これの全身からは違う男の匂いがする。
服にも肌にも髪にも染み付いていて、見上げてくる視線をわざと外した。

こうなってしまったが最後、白目の白いことさえ憎らしく思えてくる。
唯一の救いは抵抗するそぶりを全く見せないことくらいで、
残りは全部気に食わない。



何故離れて行こうとする?

忘れようともがく?

無駄な考えは捨てろ

あの里にお前を救う手立てはない

お前を解放してやれるのはオレだけ

お前の器を満たすのはオレだ





水の流れる音だけが浴室に響く。
サスケが緩慢な動作で一枚ずつ服を脱いでいくと
肌の上に赤くうっ血した跡がいくつも見えてくる。


「わかってるだろうけど、オレは」

それだけ言って口ごもりサスケはうつ向いた。
馬鹿馬鹿しい。
所有の印だとでも思って付けているのか。
昔から変わらない。あの人の子供じみた癖だ。
この匂いも。



胸板を押さえ付けてサスケの身体を沈める。
水面から出た顔に表情は無く、目すら合わせない。
もし今ここでねじ伏せて力ずくで奪ったとしても
またすぐにふらふらと飛んで行くに違いない。
他の誰かの代わりにされているとも知らずに―――





「いつまで待たせる気だ」

手の中で水とは違う質感の液体を茎に擦り付ける。
だらしなく開いた脚と脚の間でそれが徐々に質量を増していく。

眉間に皺を寄せ、唇を噛み締めているサスケの顔は
今までに見たことの無い色慾に濡れていた。

道理で夢中になる訳だ。
この状態のサスケは男娼同然に卑猥で下劣、相手がオレでなければ
嬌声の一つや二つくらいとっくに発している頃合いだろう。



憎らしい。
お前を不純に変えてしまったあの人と、あの人に変えられてしまった
お前。
そして執着することをやめられない己の弱さが、ただ。















INFO:イタサス(別CP要素含)
| | menu