無題 ---3










暗部の詰所は地下にある。
その中の仮眠室に、うちはイタチの姿があった。
イタチの他に人影はない。
仮眠室といっても二段になった棚のような固い寝台がいくつか並べて
置いてあるだけの簡素な部屋だ。居心地の良い空間ではない。

そのひとつに横たわり、目を閉じて考え事をしているうちに
イタチはいつの間にか浅い眠りに落ちていた。



そうだ、あの話―――
名もなく過去も未来さえも持つことを許されず
感情を殺し、ただ任務をこなして消耗していくだけの忍―――

記憶の中でシスイが優しく微笑みかける。
話の続きを。夢の続きを。





ダンッ、というひときわ大きな物音が静寂を破る。
寝台に横たわっていたはずのイタチの姿はとうにない。

「オレに何か用か」

侵入者の背後から冷たく語り掛ける。
暗部の面の下で息を飲む音がした。


「さすが…うちはの天才児、ですね…」

粉ごなに砕けた寝台を足蹴にしながら、イタチより少し幼い感じのする声でそう言う。そいつが面に手をかける直前に、嫌な予感がよぎった。



「お前……」

「おや?ボクをご存知なんですか?」

どこからどう見てもその少年はうちはの血をひく者に違いなく
過去一度たりとも面識がないという異常な点から考慮して
イタチは瞬間的に、この少年が “彼” だと判断した。



「はじめまして。生憎ボクには名前が無いので名乗ることもできないのですが…お会いできて光栄です。うちはイタチさん」















INFO:イタチの過去(暗部設定)を
今度こそ本気で捏造しようじゃないか!
…と意気込んだはいいが、って感じ。
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